こんにちは。久しぶりにKDPで新刊を出しましたので紹介です。新刊といってもほとんどはすでにネットの海に公開してあるものを集めた短編集ですが。まあ新作も入ってたりしますので紹介して行きましょう。
今回のご紹介はこちらの『わたしたちは常に異なっている』です。





タイトルの通り、様々なことで異なっていたり人たちのお話を4つ集めた短編集です。特にこのテーマで書こうとしていたわけではなく、なんとなく集めたらテーマが見えたので、そこに新作の短編をひとつくわえてまとめた感じです。大きなネタバレをしない程度にそれぞれのお話を説明して行きましょう。


1. 『眩しい環の外側で』
性的にマイノリティな人のお話です。
こちらはカクヨムであった個人主催のイベントに投稿した作品です。なので本を買わなくてもカクヨムで読めます。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054886625239

重めな空気だったり最後に主人公がちょっとかわいそうだったり熱い展開がまったくないなどおすすめしにくい感じはありつつ、個人的にはなかなかおもしろいものが書けたなと思っており気に入っている作品です。「異なっている」ということがテーマの今回の本において、なかなかトップバッターにふさわしいのではないでしょうか。
どんな嗜好なら普通で、どんな嗜好なら許されて、どんな世界なら救われるか、そんなことを考えながら、結論には一生たどり着けないというような気持ちです。



2. 『ロタとアトーシュ』
百合です。pixivの百合文芸コンテストに出しました。なので百合だと言ったら百合です。読んで「どこが百合だよ!」と怒る人がいても、そうですね、という作品です。
pixivのコンテストに出したものなので当然この本を買わなくてもpixivで読めます。
https://www.pixiv.net/novel/show.php?mode=text&id=12041075

教会に毎日通って祈りを捧げる人が主人公です。
書きたかったものはプラトニックな百合の極致です。ちょっと極致過ぎて、おもしろいというものまで昇華できなかったかなという無念な気持ちがあります。
あと犬が出ます。



3. 『見えないけれど赤いもの』
ボーイ・ミーツ・インビジブルガール・アンド・シバドッグです。透明じゃない人間の男子高校生と透明人間の女子高校生と柴犬(透明じゃない。もちろん人間でもない)が公園で出会って、仲良く話したり、ボールで遊んだり、ケンカしたりするお話です。
どこのコンテストにも出してないものなので、当然、この本を買わないと読めません!

最近、わたしは『僕のヒーローアカデミア』にハマっていまして、そのアニメの3期OPのラストで主人公でもないのにセンターの真ん前に立ったキャラクターがいまして、






透明人間の女の子の話とかよくない? と思って書きました。なのでとてもとてもヒロアカに影響を受けているというか作中でもそんな話をしています。
この話を書こうとしはじめたころに脚本の本『SAVE THE CATの法則』を読んだため、その作法にそれなりに従って書きました。その結果、短めにちょっとおまけとして書くつもりが想定の4倍程度まで膨らみました。
ベッタベタな感じですが、なかなかおもしろいものができたのではないかと思います。ベタなイチャイチャとケンカさせるための問題の起こし方やその解決の思想の塩梅についてそれなりに悩みました。人によっては受け入れづらい感じもあったりするかもしれませんが、キャラクターの考えはキャラクターのものなのでこの辺かなというところに落ち着けたつもりです。
最初にも書きましたが犬がでます。柴犬です。いろいろあって、わたしの作品史上、最高に空気を読む犬になりました。



4. 『わたしはあなたに興味がない』
百合です。pixivの百合文芸コンテストに出しました。なので百合だと言ったら百合です。百合だって言ってるでしょ!
pixivのコンテストに出したものなので当然この本を買わなくてもpixivで読めます。(2回め)。
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=12191211

女子高校生が特に仲良くなかった同じクラスの女子高校生とたまたま仲良くなってうんたらかんたらするお話です。
サブモチーフ的なものに「口」を選んだため、登場人物の名前が「回世唯」、「桐ケ谷咲」と四角でいっぱいになっており、「唯が〜」とか「咲が〜」とか書いていてとても混乱しました。読んでいても混乱すると思うので変えようかとも思いましたが、その混乱が脳に来る感じでいいのでは? という仮説のもとそのままとしました。

あまり日常にいなさそうな天才タイプが「唯」で、優秀だけど普通な秀才で振り回される方が「咲」です。

つまり名前がたまにこんがらがるところまで含めて『リズと青い鳥』リスペクトな作品です。
わたしの『リズと青い鳥』への思いはこちらを見てください。
【感想文】『リズと青い鳥』を見て : 灯台杜と緑の少年

ですので、一つ前に書いてKDPで出した『夕日の音を知っていますか? 夜の青さを認識しました』に続いて、三人称壁視点(リズと青い鳥のネットでの感想に出てくる、キャラに感情移入するのではなく壁や机に感情移入して見るんだ、という概念を小説で再現しようとわたしが名付けた視点)で書いています。前作については以下の記事をどうぞ。
KDPに『夕日の音を知っていますか? 夜の青さを認識しました』という新刊を出しました

三人称壁視点は、個人的にとても気に入っていて「ここに投資すべき未来があるのでは?」という気持ちと「これ、読んでる人にわかんなくね? 普通にもりあがりにくいからやめようぜ」という気持ちが両方あり、今回は投資した側の作品です。なかなかむずかしいところもあるのですが、これからもたまにチャレンジしたいなという感じです。三人称壁視点についてはそのうちブログに別途まとめるかもしれません。

そんなわけで、作品の話に戻りますが。今回は百合コンテスト向けなので当然、百合作品を書いたわけです。さらに『リズと青い鳥』リスペクトもあり、さらにそのもとになった『響け! ユーフォニアム』のアニメや原作も読んでとても好きなわけで、今回、どんなキャラにしようか考えている最中に改めて思いましたが、『響け! ユーフォニアム』は、百合パターン見本市かというぐらいいろいろなパターンがあふれていてすごいですね(ただ、リズと青い鳥は百合ではないのでは? という気持ちがあり、ただ百合だという人がいても、そうですね、と理解はできる気持ちはあり、百合の定義にむずかしさを感じていて、ここでの百合は広義のものとする)。
こういうキャラとこういうキャラの関係性でどうだ、と案を思い浮かべるとだいたいユーフォのどこかのコンビの関係性があてはまったりしてそこから逃れるのに大変苦労しました。なんとかただのパクリにならないように存在しないパターンを選び出したつもりですがどうですかね……。
そんなこともあり、いろいろ実験的な意味でも、作品の内容についても、最近書いたものの中で一番気に入っているお話です。このお話をKDPで出すために他のものを集めたり、追加の新作を書いたと言ってもいいぐらいです。



というわけで以上が今回の本にまとめました4つのお話の説明でした。なにか興味が持てそうなものがありましたら本を買って読んでもらったり、買わなくてもネットに公開していて読めるものはそちらからでも読んで頂ければうれしいです。

表紙についてはいつもどおり、森先生の本の表紙リスペクト、つまりは『鈴木成一デザイン室』リスペクトで、本の表紙をいっぱい眺めて、W2シリーズ辺りの大きめだけど余白がある写真とそこに重なる強い色の四角いオブジェクトに白い文字という感じになりました。
真ん中には人物に見えなくもないような形に植物の写真を切り取って配置してみました。花が目で、信号が心臓みたいなイメージです。見えますかね?
今回は6000円ぐらいのアプリを買って真面目に切り抜きの編集などをしたので疲れました。アプリを無駄にしないようにもう少し使って行きたいと思います。

あとまだよくわかってないですが、この本は横書きなのですが、KindleのiOSアプリで縦スクロールで読めるようです。アプリを開くと縦スクロールできるよ、というようなことを言われました。たしかに縦スクロールで読めていい感じなのですが、既存の方法に戻す操作がわからなかったり、他の横書きの本でも縦スクロールできないものがあったりよくわかりません。詳しい情報をどなたか調べてくれたらうれしいな(他力本願)。

気づけばもう7月も終わりですよ! オリンピックがはじまってるはずが新型コロナでまさかの延期です。世の中は厳しいですね。
今年はエンタメ長編を書くはずが百合文芸コンテンストやこの本のおまけのための新作やいろいろゲームしたりなどで半分以上が過ぎ去りました、まったくもって意味がわかりません……。
今年のこれからの予定としては、過去に書いた長編ミステリィをKDPにまとめたり、今度こそ新作エンタメ長編を書いたりしてどこかに応募したりとかして行きたいなと思っています。

ではでは。