前回ブログを書いたのが去年のGWなのでおよそ一年ぶりのブログです。今回は映画『リズと青い鳥』が最高だったのでその感想文を書きます。人に伝えたい気持ちもあれば、自分のために確かめるような意味も込めて書いて行きましょう。二回見てきましたが最高でした。円盤も買うと思います。


リズと青い鳥 公式サイト





簡単なあらすじを書きますと、高校三年生で吹奏楽部の少女ふたりのお話です。以上です。ストーリー的にものすごい起伏とか壮絶なプロットとか目指せ金賞とかそういったものはあまりないわけではないですが、ないと言ってもいいというか、やはり少女ふたりのお話というのが一番あっているのではないかなと思います。

この映画は『響け! ユーフォニアム』という小説が原作のアニメのスピンオフの映画です。『響け! ユーフォニアム』の主人公が二年生になったときの話をもとにそのときの三年生ふたりを主役として描かれています。じゃあ、そちらを見ていないとこの映画楽しめないかと言えばそんなことはありません。原作小説も『響け』のアニメも大変おもしろいので読んだり見たりするといいと思いますが、それらを知らずにこちらの映画を見に行けるのはまだ知らない人だけですので、気にせず見に行けばいいと思います。私はアニメ見て、原作を読んで、それから映画を見に行ってとても楽しみましたが、それを知らずにいきなり映画にはまるような体験もしてみたいとも考えます。どちらからの入りかたでも、違った楽しみがあるでしょう。ひとりの人間では片方しか味わえないのがつらいですが。

映画について書きましょう。この映画は、小説にはできないものだと感じました。小説の原作で書かれた話を元にしているのですが、描き方がアニメの映画でしかできないのではないかと思えるようなものになっています。実写でもなく、アニメのテレビでもなく、小説でも漫画でもきびしくて、アニメの映画だから作ることができたそんな映画だと感じました。

キャラクターの心情が言葉ではでてきません。モノローグがなく、セリフではっきりと語られることもないのです。心情は、描かれたキャラクターの動きから推測することしかできません。それがあっているのか、それとも外れているのか、なにを考えているのか、わかりません。わかった気にはなれるかもしれませんが、答え合わせはできないのです。

劇中で使用される物語を曲にした演奏についての話がありました。「それは行動であって気持ちではないわね」というようなセリフだったかと思います。あるキャラクターは曲の元になっている物語の中のキャラクターの気持ちを問われてもわからず、行動を答えてしまったのです。この映画も見ている人間も同じような困惑を感じるように思います。行動は描かれています。それはもうストーリーを削ぎ落として、その分をキャラクターの一挙手一投足を逃さないようにそちらへ全力をぶっこんだかと思えるぐらい描かれています。ここが小説でも、漫画でも実写でも無理だと感じるところです。小説で一挙手一投足を逃さず文章にしていたらくどすぎます。漫画ではコマの隙間が足りません。実写では縁起がむずかしいですし、わざとらしくなるでしょう。そんなアニメだからぎりぎり成り立つようなある意味で過剰な行動が描かれていても、気持ちはわかりません。あるシーンでどう動いていたとは説明できても、「それは行動であって気持ちではないわね」となるのです。

音楽もすばらしいです。劇伴というのでしょうか。繊細なこの映画に合わせて、主張しない静かな音楽が多いですが、主張はしないけれど、存在感はすごいです。足音が音楽になっています。映像の中でキャラクターが歩く、その音がリズムとして耳に届きます。それが過剰ではなく、不自然でもなく、心地よく感じるのがとてもすごいです。主題歌もいいです。ずっと聞いてます。また吹奏楽部のお話なので、演奏もでてきます。映画のタイトルにもなっている「リズと青い鳥」という曲ですが、綺麗でいい曲でした。個人的になにかドラクエっぽさを感じるのですが、そういった感想は他では見ませんね……。

ふたりの関係が、百合なのか愛なのか恋なのか依存なのか嫉妬なのかなんと言っていいものかはわかりません。わからないから映画になっているとそんなことを思います。情報量の分配が変わっている映画なのかもしれません。最初は情報量を削ぎ落としたというように思いましたが、そうではなく、別の場所へ過剰に投入されているそのように思います。

よくわかってませんし、ジャンルも話もまったく違いますし、わたしの見ている映画が少ないだけというのもあるのですが、どうも『シン・ゴジラ』がふわふわとイメージの近いところにいるような気もします。人の描き方というようなもので。

よくこんな映画を世に出せたなと思います。もっと物語に山を入れましょう、どんでん返し入れましょうとはならずに、熱く熱く燃やすようなこともなく(熱い作品も好きですが)、人間の見えない心とそこから発生する体の動きに注力する。個人の実験作などではなく、大勢の人間が関わって、商業作としてここまで完成度の高い映画として世に出てきたことをとてもすごいことだと感じます。

なにがすごかったかと伝えたいですし、分析もしたいのですが、なんともそれがむずかしいとしか言えません。分析したいです。しかし、能力が足りません。分析されたものも読みたいです。

他にもいろいろ書きたいことはあるような気もしますが、思いついたものを全部あたまに残しておけるほど記憶力がよくないのでとりあえずこの辺りにしておきます。なにか追加で思ったらTwitterにでもつぶやきます。

というわけで映画『リズと青い鳥』の感想でした。近年で一番好きな映画だと言えるようにも思えます。感動とか号泣とかはあまりしませんでしたし、熱く心が滾ったとかもなく、感情として一番近いのはニヤニヤみたいなものなのですが、どうもなにか物語の理想型の一端を見た、そのような感想を持つ作品でした。

ではでは。


おまけ。本作ではメインふたりではなく、壁や机に感情移入するんだ、という公式からのお達しですが、どうも図書委員にも感情移入してしまい、「わっかりましたー」のところでは、見るたびに「こいつ……」みたいな感じでイラッとしたものが発生します。そう思えるのもキャラクターが立っているからこそなのでしょうけれど。イラッとしますね!