最近、ドラクエ10でふたりめのキャラを育て始めました。名前は「ジュペリ」です。このキャラ自体はずっと前につくったものですので、最近、育て始めたのは偶然です。そんな程度のわたしが映画を見てきましたので感想文を書きましょう。
 
今回の映画は『リトルプリンス 星の王子さまと私』です。名前の通り『星の王子さま』を原作として、その外側からつながるような話を加えたものという感じです。

公開は11/21ともう少し後からなのですが、ブクログさんの「星の王子さま名言コンテンスト」などで名言を選んでツイートしたら試写会が当たりましたので見に行ってきました。

映画のあらすじをあまりネタバレしないように書きますと、教育ママと主人公の女の子が夏休みに引っ越してきた家のおとなりに風変わりなおじいさんが住んでいて、ありえないレベルの勉強のスケジュールから逃げ出した女の子がおじいさんのもとで、星の王子さまのお話を聞くという感じです。おじいさんがあの飛行機乗りで、かわいいキツネのぬいぐるみがでてきたり、後半、原作を飛び超えたお話になったりしていきます。

 映画、とても素晴らしかったです! 人によっては「蛇足じゃないか」という意見もあるかもしれないとは思いつつ、原作に沿った部分は絵の動きなどおもしろいですし、原作にないストーリーもおもわず吹き出しそうになるお話がテンポよく描かれていて、映画として悪いものだとはまったく思いませんでした。

しかし、この映画には考えなければいけないようなことがどうしてもあるようにも感じました。原作の『星の王子さま』にも、大人になるということに対して問題提起をしているような話があるかと思います。子供から見た「奇妙な大人たち」、そしてその奇妙さを捨てることの大切さのようなものが、この映画ではさらに強く描かれています。また、子供に対してもそんなに勉強ばかりしてどうするのか、というような形になっています。

ネタバレになるので詳しくは書けませんが、後半あるキャラクターがビジネス街で必死に働いているシーンがあります。 生産性を落としてはいけない、無駄はなくそう、そんな大人として彼は生きようとしていますが、どうも仕事の才能がないようで上手くは行っていないようでした。そんな彼が主人公の女の子に感化されて変わっていくのが後半のお話でもあります。

この映画は「そんなに勉強してどうするんだ」、「仕事なんか大切じゃない」というようなことを言っている気がします。もしわたしが作るのならばどこかに「でも大切かもしれないよ」というようなシーンをいれてしまいそうですが、そういった日和ったシーンもなかったかと思います。

だからこそ考えてしまうのです。この映画を全肯定できるだろうかと。

想像してみます。子供を連れて見に来た方が、映画の後で「おもしろい映画だったね。帰ったら宿題しようか」と言ってしまうようでいいのだろうか、と考えてしまうのです。お子さんに対して「勉強なんかよりも大切なことがある」、「別に仕事なんてしなくてもいい」とそうこの映画を素直に受け取って言える人がどれだけいるだろうか、と考えます。

今回は試写会ということもあってか、上映後にアンケートがありました。映画を見てどう思いましたかという設問の選択肢はといえば、「大切な人に会いたいと思いました」とか「愛は~」みたいな綺麗事ばかりでした。それが悪いとは言いません。そう感じる人もいるでしょう。だけど、アンケートの選択肢に「仕事やめたいと思った」、「勉強なんていらないと思った」というのを入れられないのはこの映画を見ていないか、やはり肯定として受け入れきれていないからなのだろうと思います。大人です! 奇妙な大人の仕事です! こんな映画を上映するのにそれをいれることはできないのが大人なのです! わたしは精神年齢が幼いので、その他の欄に「仕事やめたいと思った」と書いてきました。

 この映画はスタッフロールがとても長いです。今回は吹き替え版でしたが、日本向けの主題歌のあとにさらに別の音楽を続けてスタッフロールを流していました。長い、はやく帰らせろ、という不満ではありません。スタッフロールが長いということはそれだけ多くの大人(声優は子供もいます)がこの映画を作るのに関わっているということです。

大人はなんであんなに机に向かってカタカタカタカタ仕事をするのだろう。仕事なんてやめてやる! もっと大切なことがあるんだというシーンあふれる映画を大勢の人が働いて作ったわけです。これは矛盾ではないでしょうか。子供に向けて、自分たちのような大人になるなよ、というメッセージなのでしょうか。それとも映画を作るというクリエイティブな仕事は別ということでしょうか。そうは言っても映画に関わる仕事がみんなクリエイティブなわけではありません。給料を計算する人もいるでしょうし、全世界で売上を得るからにはそれを計算することを仕事としている「奇妙な大人」にこの映画は支えられているわけです。

作中でも、病院がでてきました。飛行機がでてきました。星の王子さまの本がでてきました。本を読むには文字を勉強しなければいけませんし、飛行機を作るにも勉強が必要です。お医者さんが人を救う力を持っているのもたくさん勉強したからです。

勉強や働くことを否定しているだけでいいのだろうか、ともう大人になってしまったわたしは考えてしまいます。

この映画がダメだったと言っているわけではありません。むしろ原作を曲げずにさらに拡張したものだとさえ思えます。だからこそ、「いい映画だった。それはそれとして現実では勉強はしろよ」とただの娯楽作品として簡単に切り替えて終えてしまうのでもなく、「勉強はいらない。仕事もいらない」と大切かもしれないものを否定してしまうのでもなく、何が大切かを考えていかなければいけなのではないかと感じました。

「どこまで肯定することができるだろうか?」

というのがこの映画を見たわたしの感想ですし、見た人に聞きたい言葉でもあります。そうやって考えさせる力を持っていることがこの映画が素晴らしいという証左かもしれません。映画のできはいいですし、原作も当然素晴らしいので、この機会に映画を見たり原作を読んでみたり、読み返したりしてはいかがでしょうか。思えば奇妙な大人の仲間入りをしてしまったものです……。

仕事やだ……。

ではでは。