おはようございます。わたしは寝てません。このエントリを書き終えたらたぶん寝ます。というわけで感想文です。いってみましょう。やってみましょう。
 
今日の本はこちらXシリーズ4作目の『ムカシ×ムカシ』です。



もうなんというかですね。なんども繰り返し書きますが、わたしの森博嗣先生は素敵すぎるわけです。世の中にはキャラクターに恋する人はいるわけですよ。1クールごとに嫁が変わる人とかいっぱいいますしね。わたしも犀川先生とか草薙水素とか、森先生の小説にでてくるキャラクターはかっこよくて好きですが、それ以上にやはりこんなすごいものを作りだして読ませてくれる森先生が好きなわけです。どれぐらい好きかと言われれば、すごくかわいいもふもふの子犬や子猫ぐらい好きです。伝わりますか、この気持ち?

違う。そうじゃない。感想文です。本の感想文を書くのです。仕切りなおして繰り返しますが、この本はXシリーズの4作目です。Xシリーズといえば、これといって人気のキャラもあまり出ず(たまに出ますが)、別スレッドでメインシリーズの系譜を持つGシリーズが展開されていたりと人気が薄そうなシリーズという評価がわりと正しいんじゃないかなというシリーズです。

そんなXシリーズに以前からわたしが感じているものは「怖さ」です。森先生の本ですので、妖怪とかお化けとか非科学的なものが出てきたりしはしないのですが、なんというかそれに類する怪奇小説というか、子供の頃に江戸川乱歩の明智小五郎読んだときのような懐かしい「怖さ」を感じます。懐かしいというのも変かもしれません。舞台は現代ですが、明治や大正というような、生まれる前の時代が持つ怖さを感じる気がするのです。

今回の『ムカシ×ムカシ』もやはりそういった「怖さ」を感じました。お金持ちのお屋敷が出てきて、一族がどんどん殺されていって……。別に人が死ぬだけならどうでもいいんです。怖いのはそれを実行する側の意識だとわたしは感じます。

森先生はわりと「動機など知るか(意訳)」というタイプの作家です。他にこのタイプの作家さんがいるかは知りませんが、あまり見たことはありません。そういったタイプなので、絶壁で探偵が推理して、犯人がへたりこんで泣きだして、最後に感動する動機とかでてきません。感動の大作みたいなキャッチコピーを付けられないので、出版社さんは売るのが大変だろうと思います。だいたいキャッチコピーは「~な森ミステリィ」となり「そうだよな、森作品は森作品としか言えないよな」と思いますが、最近はもうミステリィですらなくなってきたので、哀れ出版社と思いつつ応援しています。

ただ、この「動機など知るか」というものも、ただ書かないということではないと思うのがわたしの考えです。森先生は動機も書いていると思います。ただ、それが「理解できるものにしない」ということなのではないかなと思います。お金がほしい、殺した。幼いころの復讐、殺した。そういう理由じゃ仕方ないね、と読者に理解させる、同情を誘うような動機を書かないのです。

森先生の作品のキャラクターはよく「動機など考えても仕方がない」というような感じのことを話します。それは動機など隠すこともできますし、受け入れがたいものになることもあるからです。考えつかないものになることもあるでしょう。だから、作中のキャラクターが犯人を探す道具として動機を重視しません。それゆえ、森作品の評価として、動機を重視しない作品、と言われることがあるのかなと思います。ただそれは読者として重視していないというわけではないのだろうと思います。むしろわたしは動機を楽しんで読んでいます。

わたしが一番好きな森作品の動機は『黒猫の三角』のものです。動機は語られています。でも、理解して受け入れることはできません。わたしはそんな理由で人を殺そうとは思いません。大金を積まれたらわたしは人を殺すかもしれないとじぶんでは思います。大切な人を傷つけられたら、「殺してやる」と復讐を考えるかもしれません。でも、森作品に描かれるような動機で、わたしが人を殺すことはないでしょう。だからこそ素敵なのです!

そんなことを考えて、「動機は狂ってて理解できないのが怖いよね、森先生はそんな感じだよね」とこの間まで小説をちょこちょこ書いてました。できあがりました。「いいんじゃない、普通じゃなくて、怖い怖い」そう思ってました。そしてそれが終わったのでやっとこの本をよみはじめました。
 
森先生怖い……。

作品も怖いけど、これを書くことができるのが怖いです。ああ、じぶんの考えは間違ってなかったな、と思い、ただ実力や精度が圧倒的に足りないなと感じました。自転車で走ってたらジェット機がぶち抜いていったとかなレベルではなく、すっぽんが歩いてたらお月様が超高速でまわってたぐらいな差です。

まとまりがつかないのでこの辺りにしておきますが、とてもおもしろいのでみんな読みましょう!  なんかブックメーターとか感想サイトみたら、あれ、あんまり、おもしろいって評判ない? と不思議に思ってますが、なんなのでしょうね。わかりません。ほんとおもしろいんですけどね。夜中に読み始めて、途中、怖くなって、それでも読みきって、今、寝ないでブログを書くぐらいのおもしろさを「わたし」は感じました!

あと、作中に同人(否、二次創作)で小説書いて、即売会みたいなところで配布する同人作家さんみたいなキャラクターがでてきます。それについて文章などもおもしろいので、このブログを見たりするKDPや個人出版などされる方はぜひ読みましょう! というか日本語がわかる方は読みましょう! わからない人も日本語を勉強して読みましょう! なお、森先生はその大昔、名古屋版コミケを開催した(漫画描いただけでなく主催者側でもあったとのこと)とかな人らしいので、そういった過去と売れまくって使い切れないぐらい小説でお金を得た今などを考えつつ読むのもおもしろいかもしれません。あといつもどおり森先生の書くキャラクターたちの会話はリズムよく安定して最高です。

というわけでXシリーズ4作目の『ムカシ×ムカシ』はたいへんおもしろいのでぜひ読んでみてください。11月にでるらしい5作目の『サイタ×サイタ』も今からとても楽しみです。
 
あなたはどのような理由でなら人を殺せそうですか? それは多くの人の理解を得られてしまいそうなものでしょうか?

ではでは