以前いた会社の上司に「SNSとかやらないの?」と聞かれたことがあります。そのときわたしはこう答えました。「ああいうのはやるとはまっちゃいそうなのでやりません」と。今でも同じことを聞かれたらそう答えるでしょう。あのときと今の違いは「もうはまっちゃてるのでやってるのが見つかるとYA・BA・I!」です。

というわけで、わたしはTwitterが好きです。四六時中見てますし、つぶやいてます。これ考えた人すげーなと思ってきました。今日の感想文はそんなTwitterの創業者たちに焦点をあてた物語です。ではでは感想文に行ってみましょう。
 
読んだ本はこちらの『ツイッター創業物語 金と権力、友情、そして裏切り』です。



まずですが、これはフィクションなのでしょうかノンフィクションなのでしょうか。小説なのでしょうか伝記なのでしょうか。おもしろいです。おもしろすぎます。Facebookを作ったマーク・ザッカーバーグが主役の『ソーシャル・ネットワーク』は映画で見ましたが、あれよりもおもしろいです。あれよりもおもしろい理由はまずわたしがFacebookを使ったことがないことがあるでしょう。だけどそれよりももう一つおもしろい理由があります。登場人物が多いのです! あちらも創業者の権利だなんだを争っていましたが、こちらは4人もいます。それはもうドロドロです。

登場人物を簡単に紹介しましょう。基本的にわたしが読んだ印象なので正確ではないことも多いです。

エヴァン・ウィリアムズ:ブロガー(ブログを書く人ではなくGoogleに買収されたブログサービス)を作った人、この物語の主人公さ
ジャック・ドーシー:第二のジョブズになりたがってる人
ビズ・ストーン:いい人、Wikipedia日本版には専用ページがない人
ノア・グラス:破天荒な人、Wikipedia日本版のTwitterのページにて、Twitterを作った人のところに名前が載ってない人

上記の4人がTwitterの創業者です。そして簡単な流れとしては、
「ノアさん辞めさせられる → ジャックさん辞めさせられる → エヴァンさん辞めさせられる → ジャックさん復帰 → ビズさん辞める」と言った流れです。ノアさんが辞めさせられるきっかけはジャックさんの「ノアがいるなら俺が辞める」発言で、ジャックさんが辞めさせられるきっかけはエヴァンさんの「ジャックにCEOは任せられない」で、エヴァンさんが辞めさせられるのはジャックさんの「いつかCEOの座を奪い返してやる」という恨みのせいです。なお、ビズさんはいい人なので無理矢理辞めさせられた感じはあまりしませんが、「なんか俺、もう疲れたよ、パトラッシュ……」的な感じがします。

これだけ読むと仲が悪いように見えるでしょう。たぶん2014年現在は仲が悪いと思います。でも、その昔はみんな友達だったのです。偶然出会った人たちが、小さなスタートアップをはじめて、そしてTwitterというすごいものを生み出した。そんな素晴らしいものを作る人達もみんな人間なんだなというのがよくわかる本でした。

地位がほしい。名誉がほしい。そんな人間たちが、お金を欲しがっているベンチャーキャピタルを使って、じぶんの望む立場を獲得していく物語です。どうしてこうなってしまうのか、仲良くやっていくことはできなかったのか。これがフィクションならば最後にみんなが「仲良く」笑っていられるエンディングも用意できたでしょう。でも、これは事実を元にしたお話なので、みんなが「別々に」笑っているエンディングとなりました。ひとまずいまは……。そしてその笑顔がほんとうに幸せなのかは人によっては違うのかもしれないと思わせます。とくにジャックさんとか……。

この本を小説として見ると一番好きなキャラクターはノアさんです。一番最初に会社を追い出され(理由はまあ仕方ないかなとも思いますが)、そしてTwitterが盛り上がっていくたびに、本当はその輪の中にいられるはずだったという悲痛が、とても苦しく好きなキャラクターです。

逆に嫌いなキャラクターはジャックさんです。性格的には一番わたしに近そうな気がするのですが、ジャックさんがいなければこの争いはなかったような気がします。Twitterもなかったでしょうが。

ただこの本はなんとなくエヴァンさんビズさんをいい人として描いているようです。世間で目にする評価などからするとジャックさんがすごい人というように書かれていることが多いので印象が変わります。どちらが真実なのかはわかりませんが、どちらもあまり素直に受け止めることはできないかなという風に思いました。事実は、偉い人が短い期間に入れ替わっていて、創業者の多くが辞めているということ、そして各人の声に差があるということでしょうか。

そんなドロドロで人間的なやりとりも素敵におもしろいのですが、Twitterユーザとしてはその成り立ちも興味深いです。どういった発想からTwitterができたのか。創業者たちのどんな思想が影響を与えてきたのか。そしてこれから先、どうなっていくのか。そんなことがなんとなくわかります。

わたしはTwitterをすごいものだと思っていました。今も思ってはいます。Facebookはそれほどすごいと思ってません。LINEは結構すごいものだと思ってますが友達がいないので使ってません(LINEのスタンプが生まれた経緯とかもちょっと読んでみたいです)。

わたしはTwitterを作った人たちを天才だと思ってました。でもそれはたぶん違いました。わたしよりかは、はるかに優秀な人達です。でも、天才ではないのだろうと思います。

Twitterは天才な人たちがいろいろなことを考えた末に生まれたものだと思っていました。でも、本当はそれなりに優秀な人達のもとに天から降ってきたものであるのかもしれません。Amazonを作ったジェフ・ベゾスならば、もう一度Amazonを作ることができるかもしれないと思えます。しかし、Twitterを作ったこの4人がもう一度Twitterを作ることができるとはあまり思えない感じでした。Twitterはそれぐらい偶然から生まれたすごいものなのだと。

さて、そろそろ感想文を終わりにしましょう。そんな最後にTwitterが今後、どうなって行くのかを考えるために、現在のCEOであるディック・コストロさんの言葉を引用します。

「あすはもっといいミスをしよう、という旧社屋での社訓は捨てよう。私たちはもう、その手の会社ではないんだ」

Twitterは大人になりました。たぶん、大きなミスもなく数年は安定してすごいままでいられるでしょう。ただ、もっとすごくなることはなくなってしまったように思います。安定のためにはそれも必要なのでしょう。大きな災害の際に、世界に不当な諍いが起こっている時に、そんないろいろな言葉を運ばなければいけないときに、くじらの絵を浮かべているわけにはいかないのです。さみしいですが……。

この本の内容がどこまで真実かはわかりません。そう何度か書くのは少しエヴァンさん側に寄りすぎていて、不平等な匂いを感じるからです。それでもこの本は素晴らしいです。おもしろいです。映画化とかも希望します。もしされたら、ぜひ見に行きたいです。

というわけで、Twitterというすごいものの生まれと育ちと未来を、その4人の親の視点から楽しめるこの素晴らしい本を読んでみてはいかがでしょうか。

ではでは。